保育や高齢者介護、障害福祉など、民間の福祉職場の職員で構成している福祉保育労は、1月14・15日に開催した第59回中央委員会で、「ハラスメントをなくす福祉保育労宣言」を採択しました。
決定した23春闘方針では、『「ハラスメントをなくす福祉保育労宣言」を第59回中央委員会で採択し、その内容を分会のあるすべての職場で組合員に周知します。分会では、職場の状況を交流してハラスメントのない職場をめざした実践をすすめます』としています。宣言を踏まえて、ハラスメントのない職場づくりを広げていきます。
組合のない職場でハラスメントに悩むみなさんのご相談も、労働相談フォームとフリーダイヤルで受け付けています。労働相談については福祉保育労のホームページをご覧ください。
ハラスメントをなくす福祉保育労宣言の全文は以下のとおりです。
☆彡☆彡☆彡
ハラスメントをなくす福祉保育労宣言
福祉労働は、子どもたちや高齢者、障害者、その家族などの権利をまもる役割を持っています。よりよい実践を求めて、職員間でやりとりを重ね、意見を気兼ねなく出しあえる職員集団と職場風土をつくっていくことが重要になります。そのためにも、ハラスメントをなくしていくことが欠かせません。
セクハラ(セクシャルハラスメント)は意に反する性的な言動によって、マタハラ(マタニティハラスメント)は妊娠や出産などにかかわる言動によって、育児・介護ハラスメントは育児・介護の休業などにかかわる言動によって、パワハラ(パワーハラスメント)は優越的な関係を背景に必要かつ相当な範囲を超えた言動によって、不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることを言います。
ハラスメントは、被害者の名誉と尊厳を傷つけ、働く意欲と自信を低下させ、能力の発揮を阻害し、メンタルヘルス不調に追い込み、休職や退職、場合によっては自殺につながります。また、行為者は、信用や信頼を失うだけなく、懲戒処分のほか、事例によっては刑事・民事の責任、キャリア喪失やメンタルヘルス不調などに及びます。法人・事業所は、利用者や社会の信用が低下し、人材の流出と確保難、事案対応の時間的・経済的負担を強いられます。周囲の労働者は、職場環境の悪化によって、萎縮と精神状態の揺らぎ、働く意欲や法人・事業所への信頼の低下、退職などにつながります。人権の侵害で、失うものが大きすぎます。
特にパワハラについて、多くの福祉職場で悩みや不安が広がっています。注意・指導の際は、人格を否定せず、行為の問題と改善点をその目的とともに具体的に説明し、人前での叱責を避ける配慮を徹底します。大切なのは、育成の視点をもって改善にむけて目的を明確にして配慮をおこなうことです。このようなポイントを押さえた指導の重要性を共通認識にします。
法改正によって、2022年4月からは、法人・事業所のパワハラ対策方針の明確化、周知啓発、相談窓口の設置、迅速で適切な事後対応などが義務化されました。セクハラやマタハラ、育児・介護ハラスメントにも同様の義務が課されています。実効ある対策として、法人・事業所に方針の明確化と周知、全職員を対象にした定期的な研修を求めます。あわせて、法人から独立した機関を相談窓口や解決システムの中に位置づけた、公平性を担保できる体制づくりも要求します。地方組織と分会、組合員は、自らの課題として学習と論議、実践を重ねていきます。
ハラスメントを受けた時には、できるだけ拒否・不快の意思を行為者や周囲に伝え、記録に残し、相談窓口や労働組合に相談して、法人に迅速で適切な対応を求めます。相談したことなどに対する不利益な取り扱いは許しません。
私たちは、職場を支える一人ひとりの多様性を尊重し、権利と尊厳をまもり、ハラスメントのない職場づくりをすすめていきます。
以 上
◇「ハラスメントをなくす福祉保育労宣言」(2023年1月15日・全国福祉保育労働組合第59回中央委員会採択)PDFファイル版
https://www.fukuho.info/wp-content/uploads/2023/01/no-harassment.pdf