談話・見解

衆議院厚生労働委員会における医療・介護総合法案の強行採決に抗議し、参議院での廃案を求める談話

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 5月14日の衆議院厚生労働委員会で、医療・介護総合法案が強行採決されたことをうけて、福祉保育労は5月15日付で書記長談話を発表しました。「社会保障は自助が基本」として国民に自己責任を押しつけ、国の責任を放棄して憲法25条を形骸化させようとしている安倍政権を厳しく批判し、法案の廃案と権利としての福祉の実現を求めています。

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衆議院厚生労働委員会における医療・介護総合法案の 強行採決に抗議し、参議院での廃案を求める談話

2014年5月15日

全国福祉保育労働組合 書記長 澤村直

 5月14日の衆議院厚生労働委員会において、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」(以下、医療・介護総合法案という)が、自民・公明の賛成多数で強行採決された。本日15日の衆議院本会議で可決され、政府は今国会中の成立をねらっている。 19本もの法案が一括して提出されたものを、参考人質疑と地方公聴会の8時間と合わせてもわずか35時間の審議で強行採決するという与党の暴挙に対し、怒りをもって抗議するとともに、参議院で廃案とすることを強く求める。

 医療・介護総合法案には、「要支援者を介護保険の対象から外して地域事業に移行させる」、「特別養護老人ホームの入所を原則として要介護度3以上に限定する」などの給付抑制と、「一定の所得以上の利用者の介護利用料を1割から2割に引き上げる」「低所得の施設入所者の食費等を補助する補足給付を縮小する」などの負担増が盛り込まれている。衆議院厚生労働委員会の地方公聴会や参考人質疑でも、介護現場の切実な実態とともに多くの問題点と懸念の声が、与党側推薦を含む多くの陳述人・参考人から出された。ホームヘルパーとして働いている参考人からは、家事援助では頭の後ろにも目を付けているように利用者を見守り注意深く観察し、その状態変化を早期に発見するという専門性が語られている。与党側委員からも、「貴重なご意見を審議に十分反映させたい」との声があがったほどである。

 それにも関わらず、参考人質疑翌日の審議で、安倍首相は現場の声を聞くのは厚生労働大臣に任せていると強弁し、介護労働者の処遇改善が必要であることを認めながら、財源確保に向けた実効性のある決断を迫られると、来年度の報酬改定での議論に先延ばしにする不誠実な答弁を繰り返した。 このように、国民の声に耳を傾けることなく、わずかな審議のみで強行採決をおこなったことは、「社会保障は自助が基本」として国民に自己責任を押しつけ、国の責任を放棄して憲法25条を形骸化させようという安倍政権の姿勢を反映したものと言わざるを得ない。

 福祉保育労は、憲法25条に基づいた権利としての社会福祉の実現を求める立場から、多くの福祉関係者をはじめとして広範な国民と共同し、6月8日に開催予定の「福祉は権利」共同シンポジウムを大きく成功させるとともに、医療・介護総合法案の参議院での廃案に向けて全力をあげていく。

以 上

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