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【声明】「消費税増税を財源とした福祉労働者の処遇改善」に反対する 

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 11月30日、消費税増税を財源にした福祉労働者の処遇改善策が検討されていますが、福祉保育労として反対する声明を発表しました。政府の処遇改善策は不十分であり、さらにその財源を消費税増税に求めれば権利侵害も引き起こす懸念があります。応能負担原則で財源を確保すべきで、10%への消費増税には反対です。

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「消費税増税を財源とした福祉労働者の処遇改善」に反対する

2018年11月30日  
全国福祉保育労働組合

はじめに
 政府は、2017年12月8日に閣議決定した「新しい経済対策パッケージ」(以下、パッケージと呼ぶ)において、「全世代型の社会保障」への転換を打ち出し、その鍵を握るのが「人づくり革命」(人材への投資)だとした。そのなかには、幼児教育・高等教育の無償化とあわせて介護人材の処遇改善が掲げられている。そのうえで、政策実現のための安定財源として、2019年10月からの消費税10%への増収分の概ね半分を充当するとしている。
 安倍首相は、2018年10月15日の臨時閣議で「2019年10月1日に予定どおり消費税を8%から10%に引き上げる」と改めて表明した。これを受けて、自治体では消費税引き上げを前提とした予算の検討が始まり、介護業界や関係者の一部からは処遇改善への期待の声も出ている。
 福祉保育労は、2014年10月に「福祉労働者の確保と定着、養成に関する基本政策(緊急提言)」を発表するなど、介護に限らず社会福祉事業の人材確保には、大幅な増員と処遇改善が必要であることを明らかにしてきた。

1.政府の処遇改善施策は極めて不十分
① この間に政府がすすめている処遇改善施策は、介護や障害福祉サービスの報酬、保育等の公定価格に、一定の要件を設けて加算をするものである。パッケージでは、一定の経験のある介護職の賃金を月額8万円引き上げるとしているが、これは保育の処遇改善加算Ⅱのしくみを参考にしている。
② 処遇改善加算Ⅱは、保育労働者全員を対象とせず、恣意的な人事考課に結びつきかねない要件を設けている。そのため、同じ経験を有している職員間で賃金に格差が生まれたり、施設長と主任保育士で給与の逆転現象が起きたりするなど、現場に格差と分断が持ち込まれる結果となっている。
③ こうした矛盾を解決するためには、報酬や公定価格の基本部分を抜本的に引き上げてすべての福祉労働者の賃金底上げを図ることが必要である。しかし、政府はここには手を付けようとせず、あたかも一定の経験があるすべての介護職員の賃金が月額8万円程度引き上がるかのように描いている。
④ 介護をはじめとする福祉人材確保には、賃金底上げだけでは不十分であり、予算措置を伴った職員配置基準の抜本的な引き上げで職場の実態に合わせた大幅増員をおこなうことが絶対的に必要である。この点でも、福祉保育労の長年に渡る増員要求に対して、政府はまともな対策を講じていない。

2.財源を消費税増税に求めれば権利侵害を引き起こす
① パッケージでは、賃金引き上げの安定財源として、消費税10%への増税分の概ね半分が見込まれている。しかし、消費税は所得の低い者ほど生計費に対する負担割合が大きくなる逆進性の強い税制である。
② 社会保障・社会福祉は、さまざまな要因により自らの力で健康で文化的な最低限度の生活を営むことが困難になった場合に、公的な責任によってその生活を支えるしくみである。その財源を消費税に求めることは、経済的に弱い立場にあって社会保障・社会福祉を必要としている人にさらなる負担を強いるという矛盾したものである。
③ そもそも、社会保障の充実を口実にして導入された消費税は、当初の3%から5%、8%へと増税されても、社会保障は充実するどころか介護保険、年金、医療、生活保護など多くの分野で年々改悪され続けている。税率が8%に引き上げられて以降の5年間だけでも社会保障費は3兆4500億円も削減されている。
④ こうした制度改悪のもとで、保険料や利用料の負担ができずに利用抑制までが起きている。そこへ消費税増税が実施されれば、利用者にとって必要な社会保障・社会福祉が受けられない事態となる。これは、憲法25条がすべての国民に保障している健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を、政府が奪うことに他ならない。

3.財源は税制の応能負担原則に基づいて確保すべき
① 社会保障・社会福祉の財源は、所得税・法人税など応能負担原則に基づく税制による収入でまかなわれるべきである。高額所得者の所得税率や大企業の法人税率を引き上げ、株式配当などの不労所得に係る優遇税制を見直すなどすれば、消費税8%分に相当する23兆円が生み出せるとの試算もある。
② また、大型開発や防衛費などの支出を見直すことも必要である。こうした支出を抑制して、社会保障・社会福祉関連の事業に予算をまわすことで、地域経済が活性化し雇用も創出されることにつながる。
③ 福祉人材の処遇改善、増員に必要な費用は、国民負担増になる保険料や利用者負担増につながる利用料などに転嫁することなく、全額を国庫負担にすべきである。

4.福祉保育労は消費税増税に反対する
以上のことから、今回、パッケージで提案されている介護人材確保方針について反対せざるを得ない。政府は、社会保障制度改革推進法で社会保障給付の主要な財源を消費税とし、消費税法では「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てる」と規定している。こうした考え方は社会保障の原則である「所得の再分配」に反し、国民の生活を守る結果につながるものではない。むしろ、消費税率引き上げの口実に社会保障を使い、国民の分断を図っていると言わざるを得ない。
私たち福祉保育労は、消費税率10%引き上げを阻止し、応能負担原則に基づいた税制収入を財源に、必要な福祉人材確保施策を実現するために奮闘するものである。

 以 上

◆声明「消費税増税を財源とした福祉労働者の処遇改善」に反対する(2018/11/30全国福祉保育労働組合)PDFファイル
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